
ブランド:あざらしそふと(公式サイト)
発売日:2022-03-25
評価ランク:A
紅葉色づく街並みで芽生え育まれる初恋の調。
※後半ネタバレあり
はじめに
- 話は独立しているのでアマカノ2から始めても大丈夫です
- 旧作プレイ済みだとちょっとだけお得な気分になれます
攻略順
<実攻略順>
玲 → ちとせ → 結灯
<推奨攻略順>
好み優先で大丈夫です。
感想(概要)
○恋を育む過程が丁寧
旧作でも丁寧でしたが本作のそれは舌を巻くレベルです。恋を知り変わっていくヒロインに合わせて「恋を育む過程」が三者三様でしっかりと描かれています。
○夕焼け色の調和
舞台を彩る紅葉の街並みは美しく、情緒ある文章は風情がある。そして “秋” を何倍にも際立たせる「夕焼け」の演出。これにより絶妙に調和が絶妙な調和が生まれています。
○UIのブラッシュアップ
ユーザーを意識した機能が色々追加されていて良いですね。こういうブランドには好感が持てます。(やっとバックログジャンプが使える嬉しい……)
まとめ
グラフィック、テキスト、サウンド、ヒロイン、主人公。このシリーズに求めらているすべての要素が高クオリティで調和しています。この仕事っぷりは流石という他ありません。
しかし「告白」の演出は本当に素晴らしいです。夕焼けに負けないほど ”紅” に染まるヒロインは美しく、画から、文から、音から、想いの強さが伝わってきます。
あぁ、なんてロマンチックな告白……。これにトキメクなというのは無理というものですよ。
※以下はネタバレ有感想です。
感想(ネタバレ有)
氷見山 玲

「『無関心』から『甘えたがり』へ」
関わっていくうちに分かりにくいだけで実は感情豊かなのが分かるの良いですね。距離が近づいているのを実感できます。(生姜せんべいな中毒な玲ちゃん可愛い)
結灯も言ってた気がしますが “かっこいい” ですよね玲って。自分の物差しで考え「マイペース」に生きるってのはちょっと憧れちゃいますね……

想いが通じ合い今まで見たこともない笑顔を向けられた時、心がトキメクのを抑えられなかったものです。マイペースでかっこいい彼女も「恋する一人の女の子」なんですよねぇ……。
このルートは蓮池園での会話は特にお気に入りですね。ライターである龍岳来先生の詩的なセンスの良さが最高に出ている名場面です。
その人を「好き」になるまで「縁」が積み重なる「奇跡」を『浪漫』と呼ぶ。
言葉のチョイスと会話の流れの美しさが極まっています。非合理を楽しめる心を『浪漫』と表現するその心は、あまりにも洒落ていて「雅」とすら思うほどです。
蔦町 ちとせ

「『甘やかしたがり』から『甘えたがり』へ」
おそらくアマカノヒロインで一番の剛の者。なんかもう「こいびとどうしですることぜんぶ」状態がデフォルトなんですよね……どう攻略するんだこれ?ってプレイしながら思ってました。
その反面、恋に関しては一番 “幼い” のですよね。異性に対する「好き」という感情を理解できない。だから子供の感覚でハグとかしちゃうんですよね。
だからこそ、そんな彼女が恋を意識したときの “甘さ” は絶大であった――。

恋を意識したちとせ可愛すぎません?
他の女の子と喋ってるだけで「ぷくぅ」って感じに嫉妬しちゃうところとかぁ! ナチュラルにやってた “お弁当あーん” が恥ずかしくてうまくできなくなっちゃうところかぁ! うまく言葉できないから手紙で告白する奥ゆかしいところとかぁ! 付き合った直後のもう何をするのにも赤面しちゃって話せなくなっちゃうところとかぁ! 半陥没乳首とかいうあまりにもエチエチなおっぱいとかぁ! もう全部全部すんげぇ可愛いんですよねぇ!!!
そんな彼女の可愛さを存分に味わえるのもこのルート醍醐味ですが、真価は恋人後の距離の縮め方に在ると思うんですよね。
ゆっくりとでも確実に恋人になっていく。その過程の描き方が凄く丁寧で、ヒロインに寄り添っている感がよく出ていてとっても好きです。
黒姫 結灯

「『自分嫌い』から『甘えたがり』へ」
たび重なる「偶然」は「奇跡」となり「必然」へと昇華し「運命」へと至る。私はねこういう “運命のヒロイン” ってやつに弱いんですよ……。
なぜか進むごとに下がっていく甘え度。たびたびヒロインビューである挟まる思わせぶりな言葉。猫を被ってるのが丸わかりでいいですねぇ……。こういうヒロインの仮面を少しずつはがすの大好物ですよ!
甘え度[-100%] から [120%]へ

いつ見てもいいですね……本性をむき出しにしたヒロインの姿ってやつは。
他人の理想でありたいと思うあまり「黒姫のお嬢さん」を演じる。そういう生き方をせざるを得なかったとはいえ不器用な子ですね……でも彼女のそんなところが愛しくてたまらない!
実は告白後の甘え度 [120%] はフェイクです。心の変化というのは相対的なものである以上、甘え度は変動幅で求めるのが正しいはず。よってその数値は ’99 + 100 + 120 = 319′ が真。
そう、限界値である300%を超えているのですよ付き合った時点で! だからこそ彼女の甘えの火力は異常でした……。
告白後

ここまで心がキュンキュンしたのは久々です。
すべての行動で「あなたが大好き!」をぶつけてくれる上に、随所で弱さを見せてくるから庇護欲までそそられる。 こんなの「好き」にならないほうが無理ですよ……。
帰ろうとすると「もうちょっとだけ……ダメ?」って可愛く引き止められるんですよ? これそのまま帰るの無理でしょ? その上残ると心底うれしそうに喜んでれるものだから、もう愛しくて愛しくてたまらないんですよ! そりゃ「+」でもないのに半同棲状態になるわ……
これは流石に認めざるを得ませんね。黒姫結灯が “魂のヒロイン” であるということを――。
『自分嫌い』から『自分好き』へ

“自分を好きでいてくれる人のために、先ず自分を好きになる”
実のところで結灯を好きな理由は可愛さだけではなく、このルートのテーマが私が大切にしている哲学であり、それをしっかりと描いてくれたというところにあります。
付き合いたての結灯は、主人公に依存していたといっても過言ではありません。ですが彼女はそれで終わらず、「素の自分をみんなに知ってもらう」勇気ある行動に出ています。
“自分を好きな人に恥じない自分でいるために努力できること”
これこそが「依存」と「甘えたがり」の違いそのものです。そして黒姫結灯が後者であることは自明の理であり、私が彼女を好きな最大の理由です。
そして最後の迷子を助ける展開ーーこれはすごく「粋」に感じます。
大切なのは自ら迷子を助けた事実であり、子供が誰だったのかは些末なことです。「あの日自分は迷子の子を助けた」という思い出さえあれば、優しい彼女は自分を好きでいられるでしょう。
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