
ブランド:ブシロードゲームズ(公式サイト)
発売日:2025-10-30
評価ランク:B
願いは掴みとって初めて真になる。
※後半ネタバレあり
はじめに
D.C.シリーズ未プレイです。
攻略順
<実攻略順>
眞子 → 萌 → 音夢 → さくら → 美春 → 頼子 → ことり → 風祈
<推奨攻略順>
さくら → 音夢 → 美春 → 頼子 → 萌 → 眞子 → 風祈 → ことり
◼︎ポイント
・美春、頼子はさくら、音夢クリア後に解放
・さくらは最初に攻略することを推奨
(他のルートが分かりやすくなります)
・他はお好きな順番でも問題ないです
感想(ネタバレ無)
概要
○秀逸なキャラデザ
00年代初頭に「萌えゲー」として覇権をとったのは伊達ではないですね。現代でも古くささを感じないのは流石の一言!
○舞台設定
「一年中桜が咲いている島」という設定は真相込みで良かったです。なんだかんだいって「桜」は特別ですね……桜吹雪の中にいるヒロインはそれだけで美しい。
×シナリオの流れが大味
全部がという訳ではないですが大味なものが多かったですね。リメイクなので仕方ないところはあるのかもしれませんが、展開をもっと丁寧にしてほしかったのが本音です。
まとめ
今日までCIRCUSを支えてきたD.C.シリーズの始点のリメイクなだけはあり、どのヒロインも強力な「萌え」ポイントを備えています。本当にキャラデザはベリーグッドですよ!
シナリオは眞子、さくら、頼子が好みでしたね。特にことりルートは見事という他ありません。シナリオがキャラの魅力を120%引き出しています。
ヒロイン数が多いのでイマイチに感じる部分も正直ありましたが、なんだかんだ楽しめましたので「Ⅱ」のリメイクもほしいですね。楽しみに待っております。
※以下はネタバレ有感想です。
感想(ネタバレ有)
水越 眞子

眞子ちゃんのことは私かなり買っています。何と言ってもストイックに頑張れるその精神が素晴らしいですよ。これは無条件にリスペクトできるというものです。
それに眞子ちゃんは私服が超かわいいんですよね。清楚なお嬢様っぽさいその出で立ちは「カッコよさ」を求められる彼女のささやかな反抗。そんな風に思うとえも知れない愛おしさを感じちゃいますよ。

アイドル編が始まったときは相当困惑しましたが、根幹の設定を理解していると納得しますね。『女の子らしくなりたい』という願いの成就としてはオーソドックス。このルートの「魔法」は珍しくまともでいいですね。
最初こそは困惑しましたがひたむきに頑張る彼女を見ていると……「頑張れ」って自然と口にしちゃってました。
最後の最後まで彼女の「真摯さ」を見せてくれたこのシナリオは結構私好みです。
水越 萌

学校で「鍋」を展開するヒロインに初めて会ったのは初めてですね。ファーストコンタクトでこのぶちかましは今考えても中々狂ってるキャラ付けです。
でも萌先輩は色物なんかじゃなく眞子ちゃん以上にストイックなんですよね。自分の感情すら折り込んで「期待」に応えるための最善手を「合理」で選び続ける。
……言うは易し行うは難しの極みですこんなのもの。自分の感情に蓋をしつづける行為に耐えられる人なんていませんよ。だから萌先輩が瓦解したのは道理ですらあります。

それでもこのスチルのシーンには胸を打たれました。こういう今まで頑張ってきた人が弱音を吐いてしまうのにどうにも弱いんですよ。
萌先輩の真価は復活後にあると思うんですよね。期待に応えるだけでなく自分が楽しむために勝ちに行こうとするその姿勢は好感が持てます。
朝倉 音夢

想いを隠して当たりが強くなっちゃうのって「甘えたがり」の一種なんでしょうね。抑えられない気持ちの反動と考えると愛らしいものです。
最初はそこまで好きじゃないかな?と思っていたんですが徐々に可愛さが分かってきましたね。会話の端々から「好き」をチラつかせてくるまことに愛いやつですよ。
ここだけの看護学校に行くと聞いたときガチへこみしました。どうして離れちまうんだ兄さん悲しいよ……。

正直シナリオ読んでいるときはキレそうでした。衰弱のくだりは「魔法」をネガティブに都合よく使い過ぎですし、ラスト死にそうだったのになぜか回復してんの本当にわけわかんなかったんですもん。でも設定を後から知って腑に落ちました。

いや~これは気づけない見事にやられました。ちょっとムカつくぐらい筋道がキレイに通って凄いです。個人的にはこの設定大好きです。
それにしてもよかった。呪いみたいに願いをゆがめる「魔法」がなくて。
芳乃 さくら

想像していたよりはるかに重い背景で驚きましたね……。まさかあの子供っぽさを演じなければならなかった思いもしてませんでしたよ。
自分の無意識の願いが他者に害なしてしまうなんて怖くて怖くて仕方がない筈です。私なら戻ってくるという選択はできませんよ。だからこそ戻ってきた彼女は強いのです。
好きな人が自分を好きな気持ちが “ウソ” かもしれない。そんな気持ちすら飲み込んだのですよ彼女は。そうでなければこんな言葉など言える訳がありません。

「桜が枯れて、それでもまだボクを好きだったら、いっぱい、いっぱ~いキスして欲しい …… 」
それは覚えてほしいではなく覚えてたらの話。決して強要しないこの言葉に芳乃さくらという少女が持つ「優しさ」が存分に詰まっています。
この優しい二人が新たに始められたこと心より祝福します。「お兄ちゃん」から「純一くん」への変化はその演出として最高でした。
天枷 美春

まさか本人ではなく同一の精神と外見を持つロボットとは……流石にこの展開は予想の範囲外です。「嘘やろ?」と思わず口にしたくなった私は悪くない。
中々面白いことをしてくれるなとは思いましたが賛否両論あるのも頷けるものです。とはいえ私は結構「賛」よりなんですけどね。

恋心は『美春』から継承したものとは別の美春だけの想い。これに説得力が宿っていたのはとても良かったです。
音夢の役割も良かったです。本人とは別の存在が何食わぬ顔して『美春』として振る舞っている。それに嫌悪を覚えるのはある種当然ですからね。
どれだけ本人に近かろうと個体として別であればそれはもう別人。この点がしっかり描かれていたのはとても嬉しかった。
鷺沢 頼子

本作にしては珍しく「魔法」がいい仕事しかしていない稀有なルート。非常に暖かく善意の強さを信じられるこのルートのお話私は好きです。
なんといっても「善行」の連鎖が素晴らしいのですよね。頼子さんと純一が善意で行動した結果、一人の臆病な少女に勇気を与えた。
なんと美しい連鎖なのでしょう……やはり世界の真なる姿とはこうあるべきです。

とりわけ気にっているのが美咲が転校してくる展開なのですよね。
これには美咲が夢みた世界を自力でつかみ取ったこともあるのですが、力を貸した頼子さんに報いた意味もあると思うんですよね。二人分の幸せがあるのがなんだかとっても素敵です。
それにしても会えなかった日数をカウントするなんて、見た目に反して中々情熱的じゃないですか美咲さん。
白河 ことり

白河ことりのスペックを見誤っていました。まさかここまで完成しているヒロインがいたとは……当時彼女に脳を焼かれた人の気持ちも分かりますよ。
純粋なイチャラブで悶えさせてくるのが強い。キャラデザのパワーを存分に生かした質の良い「萌え」を提供してくれるのが非常に嬉しいですね。
正統派美少女でありながら “おもしれー女” 要素も併せ持つのも強みです。「ばいばいきーん」とかマジでいっちゃうフランクさが素敵。

このルートはシナリオも素晴らしいですね。なんといっても心を読む能力の使い方が上手い。特に歌が好きなことすら気づけていなかったというのは面白いです。
他人の感情だけでなく自分の感情を裏付けるものなど何もない。純一の言うように「問答無用で好き」をただ信じるだけ。確かにその点について自他に差異はないですね。
ことりが純一を「好き」なんてことは心が読めない我々にも問答無用で分かることです。一人の少女が信じることを知る物語として素晴らしい出来。エクセレントです!
風祈

流石は追加ヒロインといったところでしょうか……キャラデザで言えば本作最強です。桜吹雪との相性があまりに良すぎてズルである。
善性の塊みたいな性格が眩しい。世界を呪ってもいい生い立ちでありながら、これほどまでの善性を持てたのは奇跡に等しいです。それほどまでに彼女の心根は尊い。
特に好きなのはさくらとの関係ですね。二人の関係がまた尊いのですよ。

大願を身に宿す者どうし「友」となって笑い合う様は良いですね……友情には恋愛とは違った美しさがやはりあるものですね。
さくらが孤独に戦う必要なく誰かに助けてもらえる。そんなルートが本人以外にもあってもいい。それが風祈のような優しき「鬼」であればことさらです。



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