
ブランド:Us:track(公式サイト)
発売日:2015-10-30
評価ランク:A
弱さも欠落も愛おしく感じたのなら
きっとその人に恋をしているのだろう。
※後半ネタバレ有
攻略順
<実攻略順>
ゆい → 凛香 → 彩音 → 星奏
<推奨攻略順>
(ゆい or 凛香)→ 彩音 → 星奏
※星奏は最後にすることを強く推奨
感想(ネタバレ無)
概要
○類稀なる純愛物語
星奏ルートは賛否両論になるのも無理のないお話です。ですが私はこういった不器用な恋物語が嫌いではありません。珍しいタイプのお話が読めて面白かったです。
△個別格差
物語の中核にある星奏と彩音ルートはかなり面白かったのですが、凛花とゆいルートは二人に比べると面白さのパワーが不足しているように感じました。
○優しい思い出に浸れる世界観
柔らかな画風、テキスト、音楽が調和することで思い出に浸れる世界感を見事に作り出しています。これだけの雰囲気は唯一無二といっても過言ではありません。
まとめ
珍しい角度から描いている尖った作品ですが、紛うことなき純愛ゲーであることもまた事実です。 個人的に彩音は “可愛い” と感じ、星奏は “愛しい” と感じましたね。
しかし1人のヒロインについてここまで考えたのは本当に久しぶりでした。でもこうやって思いを巡らせる時間は楽しかったので、私は本作のこと結構好きです。
※以下はネタバレ有感想です。
感想(ネタバレ有)
小鞠 ゆい

妖精のようなほんわかした見た目ですが、心の芯の強さはなかなかどうして凄いものがあります。
思いでが詰まった花壇を壊される悲しみは並々ならぬもののはず。それでも最後の最後まで涙を流さず花壇を守るため行動し続けた。その強さは褒められるべきものです。
そんなわけでゆいのことはかなり評価しているのですが…残念ながらこのルートはイマイチ感情が乗らなかったのですよね。
花壇を残すことよりも部室にすることに利を感じたのもありますが、どうにも洸太郎に熱量を感じなかったの引っかかったんですよね。

ゆいは間違いなく最善を尽くしていました断言できます。ただ洸太郎はどうでしょう?私には彼が花壇を守るために力を尽くしたようには見えませんでした。彼はもっとやれる奴ですよ。
まぁ今ではそれも彼の気質なのかなと思いはしますがね。文字で伝えることに特化していることを考えると、ゆいに寄り添うことに留まったのも彼らしい気はします。
んー、多分2週目やると評価上がるような気がしますねこのルート。思い出の価値というものが腹に落ちている状態で読めば、違った視点が得られそうです。
四条 凛香

凛香みたいな人はそれなりにいるんじゃないでしょうか? 自分の核を持てずに他人の評価を物差しにしてしまう。私にも覚えがあるのでそういう人の気持ちは理解できます。
距離感の詰め方が性急なところがあるので、今まで人に甘えたりとかできなかった人なんでしょうね。総じて弱さが目立ったヒロインでした。
だから無くしたことを隠した上に、それをごまかす為に仕事をぶっちするようなムーブしちゃったのも仕方ないかなと思うところはあるんですよね。
それほどまでに彼女が自分に自信がない。だからこそ失望されることを過度に忌避してしまう。

誰かを信じるには信じられる自分のイメージが必要で、そのイメージは自分の核があって作られるもの。作品を通して重要なこのことを伝える意味がこのルートにはあったように思えます。
まぁもうちょっと凛花には謙虚でいてほしかったですけどね。上から目線は鼻につかなかったかといえば嘘になるので。
新堂 彩音

真っ当にめちゃくちゃ可愛いのが最高に沁みました。やっぱり自分のことが一番好きな子が世界で一番可愛いんですよね。そのことに確信すら持てます。
好きって気持ちが時々漏れ出しちゃってるのがまたいいんですよね。個人的には告白と勘違いしてOKしちゃうところとか凄く可愛くて大好きです。
己の恋に素直に準ずることができるのは彼女の美徳ですね。こういう一途な想いは見ていて気持ちがいいですね。そういう彼女だから好きになっちゃったんでしょうね私は。

自分の感情を素直に出力できること。この点が彩音は他のヒロインに比べて抜きんでて強いです。「あなたを想っています」という感情を素直にぶつけてくれる彼女を、好きにならない方がオカシイとすら思えてきます。
自分が洸太郎を『好き』だという気持ちに疑いを持っていない。ただ隣にいることのためだけに全力を尽くしただけあって彼女の想いはやはり強いです。信頼可能な安心感すらあります。
客観的な目で見たとき、洸太郎が一番しあわせに見えるのは彩音なんだろうなとは思います。素直に羨ましいですからねここまで惚れられているのって。
姫野 星奏

本当に不器用な女です…だからこそ本当に愛しい。想いを伝えることも泣くこともせず黙って泥をかぶる。そんな彼女のことは誰かが愛してあげる必要がある。
噂には聞いていましたがヒロインが失踪する展開はインパクトが凄かったです。とはいえ姫野星奏というヒロインは思っていたより理解できました。というか境遇にだいぶ同情しています。
都合3度も洸太郎の前から姿を消していますが、1度目と2度目は星奏に選択肢が無いんですよね。音楽のためチームのためと言われて、首を横に振ることができるほど彼女は器用じゃないんです。
でなければグロリアスデイズが解散した3度目に、姿を消すような真似はしませんよ。

星奏からすれば自然ですらあるんですよね。彼女からすれば自分は大好きな洸太郎を2度も裏切った上に借金まである女ですよ? 一緒になるなんて許容できるわけがありません。
とはいっても人は自分に甘い生き物なので、なんだかんだ許してしまうものなんですけどね。弱っている時ならなおさらです。ですが不幸にも意志が強すぎて自分を許せないのが姫野星奏という女なのでしょう。
自分の気持ちを殺して生きてきた優しい彼女の選択として納得も理解もできます。自分の核を持つが故に自分を許せないとは…本当にどうしようもなく不器用でどうしようもなく愛しい女です。
だからこそ彼女ような女はしあわせになるべきなのです。不幸で終わるなど私が許可しない。

まぁその点に関しては実は心配してないんですけどね。最後のこのスチルは “少し先の未来” であると微塵も疑っていませんから。
どうしても私には洸太郎が星奏を諦める光景が浮かばないのですよね。彼女からただ全力で生きることを学んだのに「お前はアルファコロン」を出して終わりってのは違うように感じるんですよね。
きっと星奏に届くまで彼は小説という名のラブレターを出し続けるでしょう。「二度と会わない」と手紙に書いたことなんて関係ないですね。しあわせを許容するまで根負けさせればいいだけですから。大丈夫國見洸太という男はそれができる奴です。
まぁ、そもそも星奏が笑顔な時点でもう確定しているようなものですけどね。想像の中でこんな柔らかに笑う彼女を想像できるほど器用じゃないですよ洸太郎って。似たもの同士で負けず劣らず不器用なんですから。



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