
制作 :ADELTA(公式サイト)
ランク:A
見知らぬ誰かに寄り添えることを強さと呼ぶ。
※ほぼ全文ネタバレあり。
はじめに
- 本記事は後編ルートのみの感想です。
- ネタバレ無し感想、前編ルート(有明、新橋、青海)感想は以下リンクをご覧ください。
攻略順
ルートロックがかかってます。分岐がでない場合は別のルートをクリアを優先してください。
参考までに実攻略順の番号のみを記載した回想リストをのせますので、順番を知りたい方は開いてご覧ください。

※あくまで私の攻略順なので他の回り方もあると思います。
※以下はネタバレ有感想です。
感想(施主判明前)
■汐留 道雄<Bルート>

後編ルート初っ端からメガトンパンチ。いきなり集団ヒステリールートをかましてきますか普通?おかげで大分混乱させられましたよ…
ただ落ち着いて考えれば、汐留君の存在が真相を追う上で如何にノイズになっているかを示唆しているように感じますね(表現がダイナミック過ぎますが…)。
送り火まで行くと疑心暗鬼の植え付けが完了して、ほぼアウトになることを考えると。実は真相判明までのキーマンが汐留くんというのは中々驚きです。
しかしこのルート新木場さんと静馬の気持ちを考えるとやるせない気持ちになります。静馬の「祓える」発言もガチでしょうね…
アンニュイな気持ちでルート終了したら、タイトル画面がエグイ色に変わっていて絶句しました。いやはや悪趣味なことをしますね(誉め言葉)。
■竹芝 葉蔵

あんなルートの後に真剣にアホをやるギャグルートが飛んできたので、落差で脳が破壊されるかと思いました。でもすごく笑えたから非難できない…なんて悪趣味なんだADELTA!(2回目)
特に新聞じゃんけん中はずっと腹を抱えて笑ってました。ガバガバルールの隙間をついてガチでやり合っているのが、滑稽面白くて仕方なかったですね。
でも一番印象に残ってるのは抱えられて恥ずかしそうにしてる新橋さんなんですよね。可愛いから仕方ないですよね…。やっぱり有明さんには慎ましさが足りないよ。
ほぼ全員がまともな精神で助かるので、疑心暗鬼が施主の目的だということがそれとなくわかるルートなのですが、この後開示される竹芝さんの過去が、ガチで悲しき過去なのでプレイ時はそこまで頭が回らなかったです。
■市場前 義一郎

ある意味有明Cとも言えるルートですね。愛する有明さんを殺した市場前への怒りが生きる理由になる最も救いなき結末。狂ったとはいえ理解に至った分、汐留Bの方がまだマシに感じます。
市場前は葬儀参加者の中ではぶっち切りの怪物でしょう。多くの患者を救う善性と、合理で人を殺せる悪性が一体となっている。糾弾すべき点が称賛すべき点もあるなどやっかいな男です。
ですが思想自体は「生きなければならない」という単純なものなのだとは思います。そのための手段は問わない。戦争経験者らしいといえばらしい思想です。
とはいえこのルートで得られる情報は貴重です。私なんかここで初めて静馬と佐清が入れ替わっている可能性に気づいたくらいですからね。してやられましたよ。
■汐留 道雄<Aルート>

電話の修復というブレイクスルーが突如発生したことには思うところはありますが、本命である施主のあぶり出しの理由としては納得いきますので、展開として”アリ”です。
豊洲=施主を看破できることもあって、このルートの大崎の探偵力は他のルートと比較して2段階ぐらい上がっている気がします。
ですがこのルートの本領は島外に出てからだと思っています。あれほど狂人にしか見えなかった汐留くんも、真実を知り理解すれば行動に不可思議なところ全くないのですから。そう意味では市場前とは対極の存在なのかもしれませんね。
またこのルートでは施主の whydunit(動機)を開示していますがこの部分は非常に気に入っています。「そして誰もいなくなった」のオーエンを独自解釈し、それが豊洲の人物像と一致する構成は非常に美しいです。
感想(施主判明)
■豊洲 浪蓮

本作で一番好きなキャラクターです。医師として、戦争経験者として、日出くんの保護者として、人の生死に生涯向き合い続けなければならなかった、その苦悩は私ごときでは想像がつかないものでしょう。
己の後悔に苛まれ続けた人生だったでしょうが、最期まで日出くんを守ることを貫いたその意志を無下にしたくはありません。豊洲浪蓮は間違いなく“善人”です。
だからこそ連環罪状という疑心暗鬼を悪用する仕掛けを彼がするはずないのですよね。そこまで至っていれば自信をもって「施主は一人ではない」と言えますね…ちょっと悔しいです。
■日出 理一

一から十まで台場静馬が語った通りです。子供が犯人であってほしくないという思いだけで、彼を施主候補から除外しました。
年端もいかない子供が残酷な事件を起こした例はいくつもあります。むしろブレーキの利かない分、大人より危険とすら考えられます。実際に日出くんの動機も思い込みからなるものでしたしね。
本作の推理の肝は「平等に人を疑えるか?」というものだったのでしょうね…推理できなかった理由まで当てられるとは思っていませんでした。完敗です。
芝浦殺したときなんでワンピース着てたのか最初は分からなかったのですが、すべて知った後だと、気持ち悪いくらいに理屈が通っていて凄いです。
■船野 呉一郎

施主の正体が分かった後でハーレムルートが出現して困惑を禁じえません。いやEXエピソードという立ち位置ならむしろ自然なのか…?
船野さんに加虐心 → 有明さん暴走 → 大崎さんのエッチさに当てられる。有明さんだけちょっと狂い過ぎてますが、ちゃんとハーレムへの筋道が出来ているの凄いです。というか恐い。
船野さんの能力を知った後だと、この事件がいかにミラクルラッキーで成立していたか分かりますね。彼が生きていると電話が復旧し、ボートが召喚されるので施主視点では詰んでるどころではありません。
そう考えると、どんな不利状況からでも船野さんを殺しに来る、汐留くんなしでは大江島封鎖事件は成り立ちません。やはり汐留道雄が本作のMVPですね…
感想(真相判明)
■台場 佐清

あまりにも優しすぎるが故に、あらゆるものを失ってしまった悲劇の人。彼の「踏み込めない」という優しさが罪だとするならば、この世は罪にまみれです。
罪人に必要なのは『赦す優しさではなく、寄り添う強さである』。多数の事件を通して伝えられた本作のこのメッセージを私は肯定します。
赦しを与えられるのは被害者だけですが、寄り添うことは誰にでもできます。誰だって見知らぬ誰かに寄り添い、救いを与えることができる。もしかしたらそれを『愛』と呼ぶのかもしれませんね。
しかし大崎さんが心配ですぐ近くにいたなんて…いいお兄ちゃん過ぎますよこの男。
■台場 静馬

書簡リストの内容から弟の静馬が狂った原因は大江杏にあると思います。ただ大江杏が諸悪の根源かというとそれは違います。
人から人への想いの繋がりが本作では丁寧に描かれています。代表的なのは「新木場さん → 大崎さん」のラインですね。血の繋がりなくても「人を想う」という“善意”の継承がされています。
ならばその逆である“悪意”の継承も当然あります。「大江杏 → 台場静馬」はその典型でしょう。彼は悪意という弱さに飲まれ、甥すら巻き込んで無理心中してしまいました。

ですが大江杏もナニカから悪意を継承していた可能性が高いです。大江島の成り立ちを考えれば、因果の起点は気の遠くなるほど前の話でしょう。
人は弱く”悪意”の継承は容易く行われてしまいます。だからこそ”善意”の継承は人にとってこの上ない救いなのです。そしてそれは肯定すべき人の強さでもあります。
※以下は返礼パンフレットの内容を含みます。未読の方はご注意ください。
考察の答え合わせ
感想で答え合わせは済んでいるようなものですが、禊として前編考察の答え合わせを行います。
1.施主は豊洲浪蓮のみ
間違いです。
ここに関しては日出くんの感想で語った通り、子供を主犯だと疑えなかった私のアンフェアな推理が敗因です。
2.芝浦の死は偶然
間違いです。というかそんな訳ないだろ…何で自信満々に言ってんだコイツ?
ただ前編の時点では完答は難しいですね。芝浦も黒幕の一人で仲違いしたぐらい予想できていれば上出来な気はします。
3.施主の目的は大江島の穢れた血の一掃
間違いです。結論はあっている箇所もありますが根拠が全部ずれています。
まず言い訳させてください。豊洲さんの年齢を30代ぐらいだと思っていましたので義兄に当てはめました(だって若く見えたんだもん…)。
青海ルートで開示された過去の大江島を引きずり過ぎたのが敗因ですね。舞台設定以外の役割はなかったので上手いこと誘導された気もします。
まとめ
全敗です☆
でも答え合わせ含めて考察は楽しいですね。また別の機会があったら懲りずに挑戦します。
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