
ブランド:key(公式サイト)
発売日:2025-11-28
評価ランク:B
人が住まうのは『心』である。
※後半ネタバレあり
攻略順
ありません1本道です。
感想(ネタバレ無)
概要
○ユニークなSF世界観
ゴリゴリにSFな世界観は非常にそそられました。LUNARiAもそうでしたがkeyのロープラは魅力的な近未来を展開するのが上手いですね。
○しみるような読後感
じんわりと温かい……そんな心地よい読後感がありました。現代以上に虚構が現実を侵食している世界だからこそ、人との交流の温かさがより際立っていた気がします。
×後半のイベントが唐突
キャラクターの行動を裏付ける間みたいなものが後半ないように見えたのは残念でした。正直唐突に感じてしまう展開も多かったです。
まとめ
緻密なSF設定は実に素晴らしいです! これがロープラというのは少しもったいない気がしますね……正直フルプラで読んでみたいものです。
ただ描写不足で「?」になるところが結構あったので、お話の展開をもっと丁寧にやってほしかったですね。駆け足で語るにはもったいないお話だったと思います。
※以下はネタバレ有感想です。
感想(ネタバレ有)
前半(1章~4章)

上位現実(advanced reality)という設定がまず良い。ノーデバイスでARを視覚可能にすることでアップデートした現実を見ることができる。いわば現実と虚構が混ざり合うこの世界は非常にワクワクしましたね。
中でも序盤の成りすましに気付かなかった女性の話は印象的でした。虚構が入り交ざっている分、我々の生きる世界よりも人の交わりが軽薄。そんな世界でどんな物語が紡がれるのかも楽しみでした。

そんな1章がすさまじく面白かったので、2章から田舎に飛ばされたのはちょっと残念でしたが、対比で人のぬくもりが感じられるのでこれはこれで面白かったです。
それに百花との生活は結構好きなんですよね……あの初恋と郷愁が混じった雰囲気なかなか悪くないですよ。
後半(5章~8章)

問題はですね5章からなんですよ。工場突入 → 入れ替わり → 青年の逮捕が矢継ぎ早に来たときは読み飛ばしたかと思いましたよ本当に。
この辺からどうもイベントの発生が唐突に感じるのですよね……。イベントからイベントの間が駆け足すぎて不自然に感じるのは勿体なく感じちゃいますね。
最後のテロも気が付いたら主人公が決めていたので、あんまり感情が乗れなかったのですよね。もう少しゆっくり描いてもらえたら違ったのかな~と思うとなんとも口惜しいです。
それでも私は本作が嫌いじゃないんですよね。
最終章(9章)

「ここが私の天国なんだよ」
百花が最期に口にしたこの言葉はかなり気に入っているのですよね。
これほどまでに視覚が拡張された世界であっても、目に見えない『心』でこそ人はつながる。
記憶から故人を再現できても、その人は『心』に存在する。
こういう考え私は大好きですよ。
きっとどれほど文明が発達しようとも、人が『心』の生物であるということは変わらないんでしょうね。それがなんだか暖かくて無性に嬉しかったです。



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