
ブランド :ZerocreationGame
発売日 :2026-04-03
評価ランク:A
プレイ時間:18h
人の本質が “善” か “悪” は分からない
だが “善” だと信じられる信念は垣間見えた
※後半ネタバレあり
はじめに
- 『飢えた子羊』の続編です。前作のプレイは必須です。

- ・日本語ボイスでのプレイです。
攻略順
<実攻略順>
ノーマルエンディング8種 → 真エンディング(選択肢上→下)
<推奨攻略順>
- ノーマルエンディングお好きな順番で問題ありません
- 真エンディングは読後感から最後の選択肢を上→下の順を推奨します
- 前作と違い好感度調整はなく直前の選択肢で分岐可能です
感想(ネタバレ無)
概要
○読み応えのあるストーリー
凄まじくダークな作風ですがだからこそ引き込まれるものがありました。しかしこれほどの地獄が史実に存在するとは…やはり現実は常に想像の上をいきますね。
○『飢えた子羊』の続編
『飢えた子羊』の続編としてはかなり満足のいくものが見れましたね。おかげさまであの作品が大好きだったということを思い出せましたよ。
×エンディング構成
バッドエンドは全部で17あるのですが、パターンがあまりないんで後の方は陳腐に感じてしまうんですよね。半分ぐらいでも良かったなと思います。あとIFエンドはいりません。
まとめ
過酷さという点では前作を遥かに上回っていて、人という生き物の醜悪さがよく描かれていました。でもこういう物語ほど、目が離せなくなってしまいますね。
暗い物語なので賛否両論あるのは分かりますが私は結構好きです。こういう世界だからこそより輝きが増すものもあるというものです。そういう類の輝きが林翩翩というヒロインにはありました。
※以下はネタバレ有感想です。
感想(ネタバレ有)
明末清初の大虐殺

かなり読み応えのある作品だったんですが、虐殺の史実がベースになっているのは大きな理由だったなと感じますね。特に序盤は “死” が近すぎてかなり緊張感がありましたよ。
ただその時代の揚州に住んでいたというだけで理不尽に奪われ、犯され、殺される。
そんな “人でなし” を 西遊記きっての凄惨な舞台「獅駝国」の妖怪になぞらえるのはかなりセンスが良い。豊富な妖怪のスチルが臨場感を高めてくれるのもグッドでした。
特に第4章の観音寺の選択肢は、どっち選んでもダメそうだったので結構悩めて楽しかったです。ちなみに仏像の裏に隠れて死にました。梁に上がると落ちると思ったんですよ……。
甘き過去の思い出

現実と過去のダブルストーリーというのも良かったです。現実の惨状が過酷というレベルを超えているので、「恋の思い出」がよく染みましたよ。
これマジで二十四橋で遊ぶの楽しすぎたんですよね。 妖怪に見つかったら終わりの現実に比べて、女の尻を追いかけていい過去のなんと楽しいこと! 可愛い女の子と遊ぶのが楽しいのは今も昔もないですね…人類開闢からの不変の理ですよ。
中でも特に良かったのはやはり林翩翩ですね。彼女とのやりとりは癒しそのものでしたよ。

彼女がマジでいい子だってのもあるのですが、一緒にいると楽しそうにしてくれるのが堪らなかったです。本当に好きなんだなって分かるのはやっぱり嬉しいですよ。
それに翩翩を救った流れも良いですよね。泣いている遊女を助けて惚れられるのって “男の夢” ですよ。これが嫌いな男はいませんよ。
ただそれとは別に、蘇憐煙に惹かれる気持ちも分かってしまうのは難儀でした。

彼女と再会したとき「あぁ、この女を追い求めていたんだな」っての納得してしまったんですよね。「この女に惚れるのは仕方がない」そう思えてしまう雰囲気が彼女にはあります。
ただ、彼女への感情はミステリー的なものが多かった気がします。死にたがっているのは分かりましたが、理由については分からなかったので、彼女の表情や言葉から考えるのは楽しかったです。
そういう風に想いを馳せられる彼女との一時は、翩翩の楽しさとは違った良さがありました。
『飢えた子羊』の続編
プレイ前は前作キャラはちょっと出るくらいかな?と思っていたので、ここまでガッツリ出てくるのは驚きましたよ。時間軸の続いたちゃんとした続編なんですよね。
彼らにまた会って『飢えた子羊』って作品が大好きであることを再度実感しましたね。
良

突如現れた謎の侠客が「良」だと知ったときは興奮を隠せませんでしたね。加入からずっと活躍していたので、個人的にもう一人の主人公だと思っています。
なんと言っても彼が罪を償うために “人助け” をしてるのを知ったのが嬉しかったですね。
前作の真エンドの復讐に対する解答である「罪に向き合い続ける」を高く支持しているのですが、それを良が守り続けているのをこの目で見れたのが本当に良かった。
「罪に向き合い続ける」決意表明を見ることがままありますが、実行しているのを見る機会はあまりないですからね。良いものを見せてもらいました。
瓊華、紅児、翠児

もうね、成長した彼女達を見れたのが感無量でしたね。
瓊華なんて美人になりすぎだし、人妻だし、仙女かと思うほどの善人振りですし、紅児は昔からお姉ちゃんしていましたが、あの小さかった子がこんな立派になって…になりますし、避難に遅れた翠児のことは怒らなきゃいけないんですけど、良からの贈り物を探してたからとか言われちゃったら怒れないですよ。あのシーン私大好きなんですもん、じゃあ仕方ないよねってなっちゃいます。
ほんと色んな思い出が蘇ってきます。こういうノスタルジーに浸れるのいいですね。
満穂(良田満穂)

声を聴いた瞬間にこの女に情緒を狂わされた体験がフラッシュバックしました。出番ほとんど無いはずなのに異常に印象に残っているんですよね…相変わらず恐ろしい女ですよ。
もうさ、良とデートしているの見るだけで楽しいんですよね。お互い好き合っているのが明白なのに、契約を守って夫婦にはならないの見てると狂いそうになります。
そんな二人が「家族なら出来た」と口にするのにどれほどの信頼が果たして積み重なったのか。それを想像するだけで白飯が3杯はいけますよ。
いやはや、この二人の結末が見れるだけでも本作をやった価値はありました。
ノーマルエンディング
個人的にノーマルエンディングの構造があまり好きではなかったりします。
私が中国史に明るくないというのもありますが、エンディングで作中に出ていない人物の話をされても困るんですよね。「誰だよテメェ」という感情が先行してしまいます。
まぁでも気に入ったエンドもちゃんとありますので、2つほど紹介したいと思います。
エンディング4:新朝

本作って徹底した人の “悪性” を描いた作品なんですけど、その一方で人の本質は “善性” であるってのを描いているんですよね。
瓊華に助けられた人達が、彼女の去り際に瓊花を贈るところを見て、知宥が「善には善の報いを、悪には悪の報いを」を少しだけ信じられるようになった件なんかは、”善” を信じたい本作の特色が良く出ているので好きだったりします。
後は、瓊華が幸福に人生を全うできる終わりが見れたのは素直に嬉しかったですね。
エンディング7:燼志

ノーマルエンドって「明は終わってたけど、清もカスでした」みたいな感じになっているのが多いんですが、そんな清に対してこのエンドは明確に抗っているのがいいんですよね。
かつて「揚州大虐殺」の被害者だった知宥が今度は剣を取るって構図は王道ながらもいいですよね。
真エンディング
聊斎:蘇憐煙

私のスタンスとして自死の肯定はしませんが、蘇憐煙が死を選んだこと自体は不思議ではないです。
不死の病に罹り後は死を待つだけの彼女が、最後に選べる “自由” として死に方を選ぶというのは十分に理解できます。
個人的に人の本質は性善説でも性悪説でもなく “性弱説” だと思うんですよね。善でありたいけど、強くないから悪に流れてしまうというのが、私が考える人という生物なんですよ。
あれほど超俗的な雰囲気をまとっていた雁姉ですら、そんな人の性からは逃れられなかった。そう思うとなんだが愛らしく見えません? 私はそういうところから愛着を覚えたりするんですよね。
紅楼:林翩翩

人の性質は “性弱説” だといいましたね? スイマセンあれは嘘です。林翩翩の生き様を見て弱いなどという寝言ほざくことはできませんよ。
彼女の恩返しは受けた恩を100倍にしてなお余りあるほどなのに、求めたのはいつの日か気づいた彼に一生忘れることができない罰を与えるだけ…カッコよすぎますよ。
自らの信念と愛に準じた彼女の生き様を強くリスペクトします。これほどの地獄で信念を貫けるのであれば、人の本質は弱さではなく強さである “性善説” なのかもしれませんね。

だからこそ、あのようなIFストーリは心底残念でした。
こんな都合のいいIFを適当にでっちあげることは、彼女の生き様の否定であり、信念の否定あり、そして強さの否定です。こんなものを作るぐらいなら誤字を1個消してくれた方がよほど嬉しい。
救いのない終わりの評判があまり良くなくて作られたものみたいですが、そんなことする必要はなかったと思ってますよ。あの終わりだからこそ林翩翩は私の心に残っているのですから。
だから堂々としててくださいZerocreationGameさん。あなた方は良いものを作ってますよ。


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